「技術者倫理の授業から見えた、挑戦することの意味」

 昨年10月から、国立大学法人東京農工大学にて「技術者倫理」の非常勤講師を務めることになりました。
 会社員時代には、国内外のグループ会社を対象に数多くの社内教育を行い、独立後も年間20回を超えるセミナーを実施してきました。そのため、人前で話すこと自体には慣れているつもりでしたが、大学で教壇に立つという経験は、これまでとはまったく異なる種類の緊張感をもたらしました。社会に出る前の学生の皆さんを相手にするという責任の重さが、自然と背筋を伸ばしてくれます。

 講義は毎年10月から翌年2月上旬にかけて、全15回を対面で実施しています。学生の表情や姿勢を見ながら進める授業は、オンラインセミナーとは違い、反応がそのまま返ってきます。理解が深まったときの納得の表情、難しいテーマに戸惑う様子、そして議論が活発になったときの真剣な眼差し──その一つひとつが、こちらの問いかけや説明の質を映し出す鏡のように感じられます。

 私の授業では、毎回必ずグループディスカッションを行い、持ち回りで代表者に全員の前で発表してもらっています。発表の場面では、緊張で声が震える学生もいれば、堂々と話す学生もいます。特に緊張している学生を見ると、かつての自分も同じようにがちがちに緊張していたことを思い出し、どこか親近感を覚えます。

 年齢とともに経験を重ねると、こうした緊張感は次第に薄れていきます。しかし、今でも新しいことに挑戦して人前に立つと、やはり緊張を覚えます。20年以上前、あるセミナーで講師の方が「人が成長するときは、恥をかいたときだ」と話していたことが、今でも心に残っています。恥をかく場面とは、まさに新しいことに挑戦し、うまくいかずに失敗したときです。その経験こそが、次の成長につながるのだと感じています。

 学生には、「人前でいっぱい緊張して、いっぱい恥をかいてください。それが必ず成長の糧になります」と伝えています。その言葉がどれほど届いているかはわかりませんが、回を重ねるごとに積極的に発表する学生が増えてきました。彼らの成長を目の当たりにするとともに、私自身もまた、学生たちから成長を促されていることを実感します。

 来年度の後期から始まる授業も、今から楽しみにしています。

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