相乗効果の定量的指標について

先週、医農薬技術とその知的財産に関して、多大な実績を残した方の講演会を聴く機会がありました。
その方は40年以上にわたって、米国等での特許侵害訴訟、ライセンス交渉や製品開発に伴う特許戦略など数多くの修羅場を経験されてきた方で、重みのある貴重な話を聞くことが出来ました。

その話の中で、これまで聞きなれない相乗効果の理論式(コルビーの式)の適用の話が有りましたので、ご紹介します。

コルビーの式とは、以下に示すようにA成分とB成分単独によって生ずる活性から、AとBを組み合わせた際の相乗効果を理論的に定量化したものです。
すなわち、実測活性が理論値を超えていれば、相乗効果があると考えられるというものです

コルビーの式:理論値E=A+B-(A×B)/ 100
 A:Aのみを処理した場合の活性
 B:A以外の物質を単独で処理した場合の活性

例えば、或る農薬Aの殺虫効果が70%あり、別の農薬Bの殺虫効果が50%であった場合、相乗効果の理論値 Eは、

理論値 E=70+50-(70×50)/ 100=85

となり、AとBを組み合わせた場合の実測活性が理論値85%を超えていれば、相乗効果が認められるというものです。

ただし、これは日本国の特許の審査基準等には出てこないものですので、この理論式に基づく数値により、進歩性の判断がされているかどうかは不明です(多分、直接の判断基準としては使われていないのではと思いますが。。。)。

特許出願を調べてみますと、農薬などの一部の特許では、相乗効果の判断基準として実施例にコルビーの式による理論値より高い数値を示して、結果的に特許権になっています。

特に海外メーカーのBASFやダウが、国内では日産化学等がこの理論式を使用して相乗効果による進歩性が有ることを謳っています。

この理論式が農薬以外の他の科学分野にどの程度適用できるのかは不明ですが、相乗効果を示す理論式があるということは、記憶にとどめておいて悪くないと思います。

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