イノベーション小委員会の中間報告書を読んで
経済産業省では、現在、ノベーションを推進するための取組施策を提案するため、産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会を立ち上げています。
その中間報告書が6月11日に出されていましたので、ご興味のある方は以下のリンクからご覧になられることをお薦めいたします。(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/kenkyu_innovation/20190611_report.html)
グローバル化や第4次産業革命が進展し、世界の産業構造は激変しているにもかかわらず、我が国は、ITでは大きなイノベーションを起こせず、スタートアップ、オープンイノベーション等も低調です。過去の成功モデルに囚われないパラダイムシフト後の世界を見据えた研究開発・イノベーション政策が必要ということで、前記の委員会が立ち上がったようです。
すなわち、近い将来、我が国が何を目指して、我々にどのような提言をしようとしているか、こうした委員会が大きなヒントを与えてくれます。
中間報告書では、以下の6つの検討課題に対して政策提言がなされています。
- ビジョンの共有と戦略的なリソース配分
- 未来を創るシーズの開拓・育成
- 次の産業の担い手となるスタートアップの育成
- 多様性やスピードに対応するオープンイノベーション
- イノベーションを産む人材の育成
- イノベーションを支える基盤整備
ところで、それら検討課題への提言のひとつとして、「従来の PDCA サイクル による改善に加え、多様な選択肢を見据えて現場で柔軟な判断と迅速な行動を求める OODAサイクルの視点、などを意識する必要がある。」
というものがありました。(出典:「パラダイムシフトを見据えたイノベーションメカニズムへ ー多様化と融合への挑戦ー」 経済産業省HP 資料 2019.6)
聞きなれないキーワードでしたので、OODAサイクルがどのようなものか簡単にご紹介いたします。
OODAとはObserve(観察)、Orient(方向付け)、 Decide(判断)、 Action(行動)の頭文字を繋げたものです。
我が国で戦後、品質管理の改善方法として使用されてきたPDCA(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善))とは異なるものです。
OODAは「相手(顧客やライバル企業)の思い」を探り、相手の心をどのような状態にするかを決めて動く創造的手法です。
PDCAはこれまで長い間支持されてきたツールなのですが、環境の変化や想定外の事態への対応が遅れる欠点を持っているため、旧来の手法に捉われない新たなOODAの提案がなされたのだと思います。
すなわちOODAは、「計画の多角的な検討と柔軟な発想」、「臨機応変の実効性」という点で、PDCAとは異なるアプローチを取る手法です。
ただし、この手法がそのまま我が国の企業活動に適用できるかは疑問ですが、国が表立ってこうしたキーワードを打ち出してくると、OODAブームがやってくるかもしれません。
ただし、前述していますように、政策提言ではPDCA+OODAで進めていくことが肝要のようです。